ニキビ跡の「ケロイド・肥厚性瘢痕」の原因と治療方法

ニキビ跡の肥厚性瘢痕・ケロイド ケロイド・肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)とは、皮膚の損傷によって、その傷を修復するためにコラーゲン線維が過剰に増生されて赤く盛り上がったしこり(傷跡)を形成してしまう状態をいいます。コラーゲンが局所的に異常増産され、触ると硬さがみられます。

主に、手術や、擦り傷・切り傷などの外傷、ヤケドなどで発生することが多く、まれにニキビなどでも発生することがあります。瘢痕形成は、皮膚の損傷が大きなものになるほど発現しやすくなります。人種的にいうと、白人種にはできにくく、黒人種にできやすいことで知られています。日本人(東洋人)はその中間です。

【瘢痕の種類】肥厚性瘢痕とケロイドの違いとは?

「肥厚性瘢痕」と「ケロイド」は見た目は同じですが、その性質に違いがあります。

肥厚性瘢痕

ニキビ跡の肥厚性瘢痕の写真 肥厚性瘢痕は、赤く盛り上がった瘢痕がその範囲を超えて拡大しないものをいいます。皮膚の損傷によって肥厚性瘢痕を形成しても、基本的にそれ以上拡大していくことはありません。皮膚のコラーゲン代謝によって数年から十数年かけて赤みとともに自然に消失していくことも多いです。ただし、残ってしまうこともあります。

ケロイド

ニキビ跡のケロイドの写真 ケロイドは、赤く盛り上がった傷跡がその範囲を超えてしだいに拡大していくものをいいます。一般に、赤く盛り上がった傷跡を形成したものは「ケロイド」と呼ばれたりしますが、ほとんどの場合では進行性のない肥厚性瘢痕であり、進行性のあるケロイドであるケースはごくまれです。進行性があるケロイドは、一般的に用いられる治療法でも困難なことがあることから肥厚性瘢痕と厳密に区別されます。

成熟瘢痕

成熟瘢痕 成熟瘢痕は、瘢痕組織の炎症が治まり、赤みがとれて瘢痕が成熟化した状態をいいます。赤みが消失するとコラーゲンが異常産生によって瘢痕が白く見えるようになります。

肥厚性瘢痕・ケロイドの原因と特徴

ケロイド・肥厚性瘢痕はアレルギー体質が原因?

ニキビとアレルギー 皮膚が損傷すると、その傷を修復するために免疫反応によってサイトカインという情報伝達物質を放出してコラーゲンの増生を促すように働きかけます。これは正常な免疫反応の一つですが、この時に過剰に免疫が働いてしまう体質の人では必要以上にコラーゲンを作り出して盛り上がった傷跡を形成してしまうことがあります。

これはアレルギーの一つだと考えられており、そういった体質の人ではケロイドや肥厚性瘢痕ができやすいといわれています。実際に、アレルギー体質(例えば金属アレルギーなど)の人はケロイド体質である傾向が比較的に高いようです。どんな人においても皮膚が大きく損傷すると傷跡を形成するのは当然なことですが、それができやすいかどうかはアレルギー要因が少なからず関係しているといわれています。

肥厚性瘢痕は治る?

ポイント 肥厚性瘢痕に対していくつかの治療法があり、大きく改善できる可能性があります。また、肥厚性瘢痕はケロイドと違って進行性がなく、年月はかかりますが特に治療しなくても数年から十数年にかけて改善傾向があります。しだいに赤みは消えて皮膚の盛り上がりも改善していくことが多いです。

これは、月日の経過とともに免疫反応(アレルギー反応)が落ち着いてくること、長年にわたってコラーゲン代謝が行われていること、年齢によってコラーゲンを作り出す働きも低下していくためなどが考えられます。赤みのある瘢痕は年月の経過とともに改善しやすい傾向があります。ただし、赤みだけ消失して「成熟瘢痕」として白く傷跡が残ってしまう場合もあります。

ケロイド・肥厚性瘢痕を治すには?「治療方法」

トラニラスト(抗アレルギー剤)の使用

リザベン・トラニラスト 肥厚性瘢痕・ケロイドを予防・改善する方法の一つにトラニラスト(製品名では「リザベン」「トラニラストカプセル」)という抗アレルギー剤を服用する方法があります。トラニラストはコラーゲン増生を促すサイトカインを抑制して、傷跡の過剰形成を予防します。また、アレルギーによる痒みも改善します。ケロイド体質で化膿したニキビができた場合は、傷跡の予防のためにトラニラストを服用したほうが良いかもしれません。

ステロイドを使用した瘢痕治療

ニキビ跡の盛り上がった肥厚性瘢痕を治す方法のひとつに、ステロイドを使用した治療があります。ステロイドには皮膚を萎縮する作用があり、その働きを利用して盛り上がった傷跡を縮小させます。ステロイドにはニキビを増発させてしまう作用もあるため、皮脂分泌が多くてニキビができやすい時期にはステロイド療法は適していないこともありますが、その場合は医師と患者の判断にゆだねられます。ステロイドを用いた治療は主に以下のような方法があります。

ステロイド局所注射

注射 ステロイドを直接患部に注射してコラーゲン組織を萎縮させる方法です。(ステロイドには皮膚を萎縮させる作用があります)。大きな瘢痕になるほど注射回数を重ねる必要があり、目安として1平方cmの瘢痕では、約5~10回ほどの注射が必要です。注射時には非常に強い痛みがありますが、生活に負担がなく高い効果が得られる方法です。治療を重ねることでかなり目立たなくなっていきますが、やりすぎると反対に皮膚の凹みをまねくこともあります。

ステロイド外用薬、ステロイドテープ

クリーム・軟膏 ステロイド外用薬の塗布や、ステロイドが配合されるテープ(貼り薬:製品名では「ドレニゾンテープ」など)を使用した治療です。ステロイドの皮膚を萎縮させる作用を利用した方法ですが、直接皮膚に注射する方法に比べると効果は劣ります。ステロイドの副作用の一つにニキビができる、細菌感染症を起こすといったことがあり、ニキビ肌のようなデリケートな肌にはステロイドの長期使用は難しいと思います。

圧迫療法

ケロイド・肥厚性瘢痕をスポンジで押さえて上からテープで圧迫する方法です。シリコンジェルシートを組み合わせて圧迫する方法もあります。単純な方法で大きな効果がありますが、治療期間が数ヶ月に及ぶことや、圧迫によって生活の負担になることがあるのが難点です。また、圧迫によってかぶれることもあります。面倒が多く、根気が必要な治療です。

シリコンゲルシート、シリコンジェルシート

シリコンシート シリコンゲルシートを貼ることによる圧迫効果、保湿効果、外的な刺激を予防する効果などによって肥厚性瘢痕の改善を促す方法です。ただし、治療が長期に及ぶことや、肌が弱い人ではかぶれを起こすことがあること、また、ニキビ肌のようなデリケートな肌質ではシリコンシートを貼る行為が余計に負担になってしまうことなどが難点です。

シリコンジェルシートには、「ケロコート」、「クリニセル」、「トリポロン」、「傷あとジェルシート」などがあります。

ヘパリン類似物質軟膏の外用

ヒルドイド軟膏 ヘパリン類似物質軟膏は、肥厚性瘢痕の予防・改善効果が認められています。ヘパリン類似物質軟膏は、保湿作用や血行を促進する作用、コラーゲンなどを合成する線維芽細胞の増殖を抑制する働きなどがあり、肥厚性瘢痕の治療と予防に有効です。製品名では「ヒルドイド軟膏」などがあります。

手術による切除

ポイント 手術によって肥厚性瘢痕を切除する方法もあります。比較的に大きなものになった場合に行われます。ただし、上手くいっても傷跡がわずかに残ることや、瘢痕体質の人では切除した部分の傷跡がかえって目立つようになることがあるため、判断が難しいところがあります。手術で切除する場合は、トラニラスト(抗アレルギー剤)の服用によって瘢痕の形成を予防しながら行われるのが一般的です。

レーザー治療

レーザー治療 レーザーの種類によって肥厚性瘢痕に効果が得られる可能性があります。ただし、瘢痕体質の人では皮膚に対してダメージを与える行為がかえって瘢痕組織を拡大させてしまう可能性もあるため、実行には医師や患者の判断にゆだねられます。トラニラスト(抗アレルギー剤)の服用によって肥厚性瘢痕の形成を予防しながら行うのが理想です。肥厚性瘢痕に対するレーザー治療は主に以下のようなものがあります。

色素レーザー(Vビームレーザー)

色素レーザー(波長595nm)は、血管(ヘモグロビン)のような赤い色素によく吸収されるレーザーです。その性質を利用して肥厚性瘢痕内の血管を破壊し、瘢痕形成の進行を抑制します。

ジェネシス(ロングパルスヤグレーザー)

ジェネシスとは、米国CUTERA社が開発したロングパルスNd-ヤグレーザー(波長1064nm)を使用した治療法です。ジェネシスは、主にシミ、くすみ、皮膚の赤み、小じわなどを改善するエイジングケアを目的としたレーザー治療ですが、多くの事例で肥厚性瘢痕に対する効果もあることがわかっています。

フラクショナルレーザー

フラクショナルレーザーとは、皮膚に点状の微細なダメージを与えて、そのダメージを修復するために放出される成長因子によって皮膚の入れ替えを促すレーザー治療法です。異常増殖したコラーゲン線維の代謝を促し、皮膚を平らにしていきます。肌を削らないタイプには、「フラクセル」や「アファーム」などがあり、肌を削るタイプではCO2レーザーを用いた方法があります。CO2フラクショナルレーザーは、レーザーのエネルギーによって実際に皮膚に穴をあけるため、皮膚の入れ替え効果が高い反面、痛みやダウンタイムが長くなる難点があります。