ニキビ治療法 ピル(ホルモン療法)でにきび改善

ホルモン治療は、男性ホルモンが皮脂分泌を増加させ、にきびを誘発する要因になることから、薬を使ってホルモンバランスを整えたり、抑制したりする治療法です。

ホルモン療法は主に、ピル(経口避妊薬)の内服薬、女性ホルモンの貼付薬、男性ホルモンの働きをブロックする内服薬、などの方法がありますが、一般的に、にきび治療にピル(経口避妊薬)が利用されることが多いです。なお、ニキビを治療する目的のホルモン療法は、一部の皮膚科に限られる治療法です。

ピルについて

ピルとは?
ピル使用の本来の目的は、ピルに含まれる排卵後や妊娠中に多く分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)を摂取することによって、避妊状態を人工的につくろうというもので、ピルの成分には基本的に、排卵をなくし女性の体を避妊状態にする黄体ホルモン(プロゲステロン)と排卵を誘発する卵胞ホルモン(エストロゲン)が含まれています。

避妊だけが目的なら、プロゲステロン(黄体ホルモン)だけが配合されたピルでよいと思いがちです。さらには、薬で(卵胞ホルモン)エストロゲンを補うことは、乳がん、子宮頸がん、肝障害などのリスクを高めることが知られています。ですが、卵胞ホルモン(エストロゲン)が含まれていない黄体ホルモン(プロゲステロン)だけのピルの場合は、黄体ホルモン(プロゲステロン)の効き目が悪くなってしまうという事実があるので、低量の卵胞ホルモン(エストロゲン)が含まれており、基本的にピルというとプロゲステロンとエストロゲンの2種類の女性ホルモンが含まれています。

問題は、黄体ホルモンには男性ホルモンのような作用をもっていることです。これは女性ホルモンと男性ホルモンは、どちらも原料はコレステロールで構造も似ており、完全に別物ではないからです。なので、黄体ホルモンが含まれるピルを服用すると、どうしても少なからず男性ホルモンのような作用を受けるのです。 そのため、ピルの種類によっては、余計ににきびが悪化してしまう場合があり、適切な種類のピルを用いることが重要になります。

ピルの種類
ピルは、卵胞ホルモン(エストロゲン)の用量で、「高用量ピル」「中用量ピル」「低用量ピル」に分類されます。

・高用量ピル・・・エストロゲンの用量が50μg以上のピル
・中用量ピル・・・エストロゲンの用量が50μg程度のピル
・低用量ピル・・・エストロゲンの用量が50μg未満のピル

卵胞ホルモン(エストロゲン)は、女性らしく美しい体にするホルモンですが、エストロゲンが多いと、乳がん、子宮頸がん、肝障害などの副作用があるので、世界保健機構の勧告で、卵胞ホルモン量を50μg未満が義務付けられました。 なお、日本で認可されているピルは30μgから40μgとなっています。


低用量ピルの種類
さらに低用量ピルは、黄体ホルモン(プロゲステロン)の成分や種類と量で「第1世代低用量ピル」「第2世代低用量ピル」「第3世代低用量ピル」に分類されます。

種類 特徴
第一世代低用量ピル 黄体ホルモン(プロゲステロン)の用量が多いが、その種類と性質により男性ホルモン様作用は少ない
第二世代低用量ピル 低用量の卵胞ホルモン(エストロゲン)でも効き目のある黄体ホルモン(プロゲステロン)だが、男性ホルモン様作用が非常に強い
第三世代低用量ピル 低用量の卵胞ホルモン(エストロゲン)でも効き目のある黄体ホルモン(プロゲステロン)で、男性ホルモン様作用も低い

この中で、男性ホルモン様作用(アンドロゲン様作用)が低い種類の黄体ホルモン(プロゲステロン)で、副作用も少ないのは第三世代低用量ピルで、産婦人科でも、一般的に日本では第三世代ピルが用いられることが多いようです。

にきび治療に用いられるピルの種類
人それぞれ女性ホルモンの受容体(感受性)は違うので、体に一番合ったピルを処方するのは難しいですが、日本オルガノンというメーカーの「マーベロン」というピルを処方することが多いです。このマーベロンも第3世代低容量ピルで、男性ホルモンのような作用が少ない種類の黄体ホルモンで非常に副作用も少ないた、ニキビ治療だけでなく広く利用されるピルです。

ピルを処方してもらうには?
ピルは処方箋が必要なのでドラッグストアなどで購入できるものではありません。産婦人科や、ホルモン治療を提供している皮膚科などで処方してもらう必要があります。

ホルモン治療は、まず血液を採取してホルモンバランスを測定するところから始まります。そして、女性ホルモンのバランスに問題がある、男性ホルモン(テストステロン)の濃度が高い、などのホルモンバランスの乱れが確認できたら、状態に合った種類のピルを処方されます。

ピルの副作用・注意点
ピルに含まれるプロゲステロン(黄体ホルモン)の作用で、太りやすくなる、シミができやすくなる、便秘になりやすくなる、倦怠感、抑うつ感、乳房の張り、PMS的症状、性欲低下などの妊娠期のような症状が出ることがあります。

ピルに慣れていない始めたばかりの時期は、ピルに含まれるエストロゲン(卵胞ホルモン)の作用で、頭痛、吐き気、下痢、むくみ、血圧上昇などが起こることがあります。

また、重度の症状になると、長期間服用を続けた場合に、血栓症、心筋梗塞、乳がん、子宮頸がん、肝障害などのリスクが高まることがあります。

ただし、こういったホルモンに働きかける薬は、長い期間も続けて良いものではなく、ホルモンバランスが整い、皮脂が減ってにきびが出来にくくなった時点で、他の治療法に変更していくことが多いです。